敬語が、こわいあなたへ

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敬語が、こわいあなたへ

 面接や、新しい職場。「敬語を間違えたら、どうしよう」——そう思うと、口を開くのがこわくなること、ありますよね。

 私は長いあいだ、就労支援の現場で、働きはじめる方たちのそばにいました。その中で、いちばん多く聞いたお悩みのひとつが、この「敬語がこわい」でした。だから、最初にお伝えしたいことがあります。敬語は、完璧じゃなくて、いいんです。

■ 敬語は「正しさ」より「気持ち」

 いちばん大切なのは、言葉の正しさより、相手を大切に思う、その気持ち。それさえあれば、少しくらい言い方を間違えても、ちゃんと伝わります。面接官も、人間です。ていねいにしようとしているあなたの気持ちは、言葉のうしろから、ちゃんと伝わっています。

■ 3つの敬語を、ざっくりだけ

 敬語には3つの種類があります。ぜんぶ覚えなくて大丈夫。「へえ、そんな感じか」くらいで読んでください。

・尊敬語……相手を”立てる”言葉(言う→おっしゃる、見る→ご覧になる)
・謙譲語……自分が”一歩引く”言葉(言う→申します、見る→拝見します)
・丁寧語……「です・ます」の、やさしい言葉

 迷ったら、まずは「です・ます」から。これだけでも、じゅうぶんていねいです。

■ いちばん大事なコツは、たったひとつ

 全部を覚えようとすると、こわくなります。だから、ひとつだけ。「自分のことは、一歩引く」。

 相手の動きには”立てる言葉”(尊敬語)、自分の動きには”引く言葉”(謙譲語)。この向きさえ間違えなければ、敬語はだいたい、きれいに収まります。

■ 現場で、よくあった間違い

 窓口で「〇〇の書類は、お持ちになりましたか?」とおたずねすると、「はい、お持ちになりました」と答える方が、とても多かったんです。

 これは敬語が少しだけ、ねじれています。「お持ちになる」は相手を立てる言葉。自分のことなら「持ってまいりました」「持ってきました」「持参しました」と、一歩引くのが本当の形です。

 ——でも私は、それを「間違い」だとは思いませんでした。むしろ、緊張しながら精いっぱいていねいに答えようとしているのが伝わってきて、あたたかい気持ちになったんです。

■ 就活で使う、言い換えミニ辞典

 よく使うものだけ、そっと置いておきます。(左=自分のこと/引く、右=相手のこと/立てる)

・言う → 自分:申します / 相手:おっしゃる
・見る → 自分:拝見します / 相手:ご覧になる
・行く → 自分:まいります・うかがいます / 相手:いらっしゃる
・する → 自分:いたします / 相手:なさる
・聞く → 自分:うかがいます / 相手:お聞きになる

 全部を暗記しなくて大丈夫。「自分は引く、相手は立てる」——その向きだけ、思い出せれば十分です。

■ おわりに

 敬語がねじれても、大丈夫。ていねいにしようとする、その気持ちは、ちゃんと相手に届いています。コツはひとつだけ。「自分のことは、一歩引く」。あとは、あなたの言葉で、まっすぐ話してください。相手を大切に思う気持ちが伝われば、もう、じゅうぶんなんです。

 そして、もうひとつ。「言葉は言霊」といいますね。声に出すこと、そして、その声を自分の耳で聞くこと。それは相手だけでなく、自分自身の心にも、強く影響しているのだと、私は考えています。

 「乱暴な言葉」「やさしい言葉」——そんな言い方が日本語にあるくらいですから。人にも、自分にも、やさしくあるために、日ごろから、心の安らぐ言葉を選んで過ごせたら。そう思いませんか。

 敬語を整えることは、その第一歩にもなります。就活のこの機会に、自分の発する言葉そのものを、今いちど、そっと見つめ直してみるのも、いいかもしれません。

 温かな言葉を使うことで、ご自分も周りも幸せな気持ちになっていく、私はそんなふうに考えます。

「職場がつらい」「自分で決められない」
そんなとき、一人で抱え込まないでください。

13年間、同じような悩みを持つ方の相談に向き合ってきました。
まず話すだけでも、気持ちが整理されることがあります。

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